星の王子さま|サン=テグジュペリ|感想・あらすじー時間をかけた分だけ、つながりは深くなる【大人の読み直し】
砂漠に不時着した飛行士が、小さな星から来た王子さまと出会う物語です。📖
100ページほどの短い本ですが、世界中で長く読み継がれてきた一冊。
子どもの頃に読んで、ピンとこなかった人も多いかもしれません。私もそうでした。
大人になって読み返すと、時間と、つながりの話として、まっすぐ響いてきました。
子どもの頃に一度読んだきりの人に、ぜひ。🐤
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 星の王子さま |
| 著者名 | サン=テグジュペリ |
| 刊行年 | 1943年 |
| ジャンル | 寓話・フランス文学(古典) |
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※今回読んだのは河野万里子訳(新潮文庫)です。上のリンクもこの版です。
一行本棚|作品メーター
※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。
- 長さ【2】 短い★★☆☆☆長い
- 読みやすさ【3】 単純★★★☆☆複雑
- 重さ【2】 軽い★★☆☆☆重い
- 余韻【3】 アッサリ★★★☆☆コッテリ
おすすめのタイミング
1時間で何か一冊読みたいとき。子どもの頃に読んで「よくわからなかった」記憶がある人は、今こそ。誰かとの関係に、少し疲れているときにも。
長さ・読みやすさ・重さ・余韻で、あなたの気分に合った一冊を探せます。↓

子どもの本? 大人の本?
作者のサン=テグジュペリは飛行士でもあり、子ども向けの本はこの一冊しか書いていません。
主人公の「ぼく」は、砂漠に不時着した飛行士。そこに現れたのは、遠い小さな星からやって来たという王子さまでした。「ヒツジの絵を描いて」と、いきなり頼んできます。
王子さまが語るのは、自分の星に残してきた一輪のバラのこと。そして、いくつもの星をめぐって出会った大人たちのこと。
子どもが読めば冒険の話として、大人が読めば人との関係の話として読める。人生のステージによって受け取るものが変わるのが、この本の魅力だと思います。
まだ読んでいない方は、ネタバレの前に一行の本棚で気になる本を探してみてください。↓

ここから本格レビュー(ネタバレあり)
⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
王子さまは、家ほどの大きさしかない小さな星に、ひとりで暮らしていました。その星には、一輪のバラがいました。わがままで、見栄っ張りで、でも王子さまはそのバラの世話をしていました。
バラとのやりとりに疲れた王子さまは、星を離れ、旅に出ます。
王様、うぬぼれ屋、酔っ払い、実業家、点灯夫、地理学者。小さな星々で出会う大人たちは、みんなどこか変でした。
そして地球にたどり着いた王子さまは、キツネと出会います。キツネが教えてくれたのは、「なつかせる」ということ。時間をかけて関係をつくった相手は、世界にひとつの特別な存在になるということでした。
主な登場人物
| 人物 | どんな存在か |
|---|---|
| ぼく | 砂漠に不時着した飛行士。語り手。子どもの頃、大人に絵の才能を否定された過去がある |
| 王子さま | 小さな星から来た少年。バラを残して旅に出た |
| バラ | 王子さまの星に咲く一輪。気まぐれで、でも王子さまにとって特別 |
| キツネ | 地球で王子さまに「なつかせる」ことを教える |
| ヘビ | 地球で最初に出会う存在。王子さまを星へ帰す役割を担う |
「いちばんたいせつなことは、目に見えない」
この本でいちばん有名な言葉です。地球で出会ったキツネが、王子さまに教えてくれる「秘密」です。
王子さまは地球で、何千本ものバラが咲く庭を見ます。自分の星のバラは、世界にひとつだけの特別な花だと思っていたのに、見た目はどれも同じでした。
でもキツネは言います。きみのバラが特別なのは、きみがバラのために時間を使ったからだ、と。
水をやり、風よけを立て、話を聞いてやった。目には見えないその時間が、あのバラを「自分のバラ」にしていたのです。
つながりは、時間をかけた分だけ深くなる。
大人になって読み返して、この話のミソはここだと思いました。バラも、それを教えてくれたキツネも、そして最後の星も、全部この一本の線でつながっていました。
王子さまも、正しいわけではない
一方で、大人になって読むと少し違って見えたところもありました。
星々で出会う大人たちに対して、王子さまは「大人って変だ」と、次々に決めつけていきます。
子どもの視点として描かれているのはわかります。でも大人の目で読むと、王子さまの側にも一方的なところがあるように思えました。
ただ、それは欠点というより、つながりを学ぶ前の姿なのかもしれません。バラを置いて旅に出た王子さまは、まだ「時間をかける」ことの意味を知らなかったのですから。
王子さまも、旅の途中だったのだと思います。
すべてが去ったあとに、残ったもの
物語の最後、王子さまは自分の星へ帰ります。
体は重すぎて持って行けないから、とヘビに噛ませて、体をここに置いて。翌朝、その体はありませんでした。
そして「ぼく」は、砂漠から戻ります。飛行機は直り、生活は元に戻る。派手な変化はどこにもありません。
でも夜、星を見上げるたびに、王子さまを思い出す。
ぼくの手元に残ったのは、それだけでした。つながりが、一つ増えた。それだけなのに、確かに少しだけ大人になっている。
映画でも小説でも、主人公が大きく変わるわけではないのに、内面で少しだけ成長している——私はこういう終わり方が好きです。この本は、その原型のような一冊でした。
読むたびに、受け取るものが変わる本
子どもの頃はわからなかった。大人になって読んだら。時間とつながりの話だった。
たぶん、また何年かして読み返したら、別のものを受け取るのだと思います。
1時間で読める、一生ものの本です。📘🐤
同じく寓話の形で、大人にこそ刺さるダークな一冊。↓
フランス文学つながりで、こちらも。↓
📌 異邦人|カミュ


