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三体Ⅱ 黒暗森林|劉慈欣|感想・あらすじー「2部が一番面白い」は本当か、正直に書く

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『三体』三部作の第2部。上下巻あわせて、かなりの長さです。📖

「2部が一番面白い」と聞いていたので、楽しみにして読み始めました。

序盤はスロースタート。でも、ある人物たちが躍動してからは一気に熱くなり、下巻では「作者はどこまで考えているんだ」と感嘆しました。

ただ、長さと面白さが正比例かというと。。。人によるかもしれません。私の感想は最後に書いておりますので、ぜひ読んでいってください。🐤

第1部の記事はこちら。↓

📌 三体

作品情報

項目内容
作品名三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)
著者名劉慈欣
刊行年2008年
ジャンルSF(中国SF)

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一行本棚|作品メーター

※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。

  • 長さ【5】 短い★★★★★長い
  • 読みやすさ【4】 単純★★★★☆複雑
  • 重さ【4】 軽い★★★★☆重い
  • 余韻【4】 アッサリ★★★★☆コッテリ

おすすめのタイミング

第1部を読み終えて、続きが気になっているとき。腰を据えて、長い物語に時間を注ぐ覚悟ができたときに。

長さ・読みやすさ・重さ・余韻で、あなたの気分に合った一冊を探せます。↓

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『三体Ⅱ 黒暗森林』はどんな話?(ネタバレなし)

第1部の終わりで、人類は知りました。三体文明の艦隊が地球に向かっていて、到着はおよそ400年後。しかも「智子(ソフォン)」によって、地球の科学は進歩を止められている、と。

絶望的な状況ですが、人類には一つだけ、智子に覗かれないものがありました。人間の頭の中です。

そこで考え出されたのが「面壁計画」。選ばれた4人の「面壁者」が、作戦の中身を誰にも明かさず、自分の頭の中だけで三体文明への対抗策を練る、という計画です。

4人のうち3人は、世界的に名の知れた人物。ところが残りの1人は、なぜ選ばれたのか本人にも分からない、無名の社会学者・羅輯でした。

タイトルの「黒暗森林」は、この物語の核になる考え方の名前です。その意味が分かる瞬間が、この巻の見どころです。

「2部が一番面白い」は本当?(ネタバレなし)

面白さのピークは、たしかにこの巻だと思います。ただし、出だしからではありません。そして、長いです。

序盤は、複数の場面をそれぞれ展開していく構成で、どうしてもテンポが悪く感じました。後でそれらがつながった時にちゃんと面白くなるので、構成上しかたのないことではあります。

はっきり面白くなるのは、面壁者たちが本格的に動き出し、彼らに対して「破壁人」という分かりやすいライバルが現れてから。上巻の途中で止まりそうになったら、そこまでは是非読んでみてほしいです。

そこから先は、主人公・羅輯の誰にも理解できない行動をきっかけに、物語が一気に加速します。

主な登場人物

人物どんな人か
羅輯(ルオ・ジー)無名の社会学者。なぜか面壁者に選ばれる。この巻の主人公
史強(シー・チアン)第1部に続いて登場する警察官。羅輯の護衛を務める
章北海(ジャン・ベイハイ)宇宙軍の政治将校。信念の読めない人物
フレデリック・タイラー面壁者。元アメリカ国防長官
マニュエル・レイ・ディアス面壁者。ベネズエラ大統領
ビル・ハインズ面壁者。脳科学者
葉文潔(イエ・ウェンジエ)第1部の中心人物。羅輯にある考え方を託す

ここから本格レビュー(ネタバレあり)

⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

あらすじ(結末まで)

物語の冒頭、羅輯は葉文潔から「宇宙社会学」という考え方の種を受け取ります。宇宙にはたくさんの文明があり、どの文明も生き残ろうとする。一方で、宇宙の物質の量は限られている。この二つを公理として考えてみろ、と。

その後、羅輯は理由も分からないまま面壁者に選ばれます。三体文明を信奉する地球三体協会からは命を狙われ、史強が護衛につきます。

他の3人の面壁者は、それぞれ壮大な作戦に取りかかります。ところが、三体協会は彼ら一人ひとりに「破壁人」をつけ、その真の狙いを暴いていきます。タイラー、レイ・ディアス、ハインズと次々に作戦は破られていきます。

一方の羅輯は、面壁者の特権を使って理想の女性を探し出し、娘を得て、湖のほとりで幸せに暮らします。何もしない面壁者。周囲からはそう見られていました。

しかし妻と娘が「人質」のように冬眠したことで、羅輯はついに考え始めます。そして宇宙社会学の公理から導いた結論を試すために、ある「呪文」を唱えます。太陽を増幅器として、地球から遠く離れた一つの恒星の座標を、宇宙に向けて放送したのです。

そして羅輯も冬眠に入ります。


下巻の舞台は、およそ200年後。智子のせいで基礎物理は止まったままでしたが、応用技術は大きく進み、人類は地下都市で暮らし、宇宙には2000隻の大艦隊を持っていました。「三体艦隊など恐れるに足らない」。そんな楽観が、世界を覆っていました。

冬眠から目覚めた羅輯は、自分が放送した恒星が、実際に何者かに破壊されていたことを知ります。呪文は、効いていたのです。

その頃、三体艦隊の先触れとして、「水滴」と呼ばれる小さな探査機が太陽系に到着します。鏡のように滑らかな、美しい物体。人類の大艦隊は、それを迎えるために整然と並びました。

また、時を遡り、宇宙軍の章北海は動きます。冬眠から目覚めていた彼は、宇宙戦艦「自然選択」を奪い、太陽系の外へ向けて逃走したのです。数隻の艦が、彼を追いました。

小さな探査機で、無害と思われていた水滴が突然加速します。太陽系にはありえない、あらゆるものより固い物質でできた水滴は、人類の航空宇宙力学では説明のつかない動きで艦隊に突っ込み、鋭角にターンを繰り返しながら、戦艦を一隻また一隻と抵抗なく貫いていきました。2000隻の艦隊は、たった一つの水滴にほぼ全滅させられます。

章北海を追って太陽系を離れていた5隻と、三体文明への警戒を怠らなかった2隻だけが生き残りました。章北海ら5隻は「星艦地球」を名乗り、数万年にわたる遥かな旅に出るのです。しかし、逃げおおせた2隻と太陽を挟んで反対にいながら、限られた燃料と物資をめぐって、艦同士が殺し合う「暗黒の戦い」がそれぞれで行われるのでした。

一方、羅輯はついに結論にたどり着きます。

宇宙は暗い森で、どの文明も、見つかれば撃たれるから息を潜めて隠れている。見つけた相手は、安全のために消すしかない。

これが「暗黒森林」理論です。

羅輯は、太陽の周りに大量の核爆弾を配置し、それを爆発させて太陽の光を点滅させることで、三体文明の星の座標を宇宙に向けて放送できる仕組みを作ります。そしてその起動スイッチを自分の生命シグナルと紐付けて、三体文明と交渉します。自分が死ねば、発信が始まる。発信されれば、三体世界も、そして地球も、見つかって撃たれる。

三体文明はこの脅しを受け入れ、艦隊は進路を変えます。「暗黒森林」理論による抑止の成立です。

ラストは、羅輯と妻子の再会。そして人類と三体文明が、脅し合う敵ではなく、隣人のように言葉を交わす場面で物語は閉じます。

感想・考察

ここからは、読み終えて残ったことを書きます。

面壁者が出てから、熱くなった

面壁者が出てきてからは、はっきり面白くなりました。「破壁人」という分かりやすいライバルが出てきたのが大きいです。

対立関係が分かりやすいと、やっぱり熱くなりやすい。第1部は敵が抽象的すぎて、自分が今どこにいるのか掴みにくかったのですが、この巻はそこが解消されています。

そして上巻のクライマックス。面壁者が破壁人に次々とやられていく中で、主人公・羅輯が誰にも理解できない行動、「呪文」を唱える。ここから一気に加速しました。

水滴と、暗黒森林理論が物語の核になる瞬間

下巻に入って、物語は冬眠後の200年弱未来に飛びます。智子によって基礎物理の進歩が妨げられた未来の生活、宇宙、宇宙船。作者のイメージ力はすごかったです。

中でも、水滴の場面。太陽系にはありえない硬さの物質でできた小さな物体が、異常なスピードで、人類の力学では説明できない方向転換を繰り返しながら、2000隻の艦隊を抵抗なく貫いていく。その絵の浮かび方は圧巻でした。(しかもこれは三体文明の先遣に過ぎない。。。)さらにそこから、星艦地球のゴタゴタに続いていく。

その上で、暗黒森林理論のような理屈付けを持ってきて、それが一気に物語の核になり、締めにもなる。シンプルな理屈なのに、ここまで物語を貫く軸になるのか、と。作者の話の作りの上手さに、ただ感嘆しました。

ちなみにこの「暗黒森林」の考え方は、「宇宙にこれだけ星があるのに、なぜ宇宙人と出会わないのか」というフェルミのパラドックスの、有力な解の一つとして実際に挙げられることがあります。

章北海という人物

章北海は、最序盤から登場しますが、いまいち物語にどう絡んでくるか分からないまま話は進みます。正直に言うと、この「分からない間」は、それほど面白いとは思いませんでした。

ところが下巻で、彼が真に人類のことを思って逃走した時は、めちゃくちゃ面白かった。第1部からは想像もつかなかった、いいキャラクターになりました。

ただ、そこにたどり着くまでは長いと思ってしまいましたね💦。

締め方が好きだった

この巻の締め方は、綺麗でした。

脅して終わり、ではないんです。脅し合う敵だった相手と、隣人のようになって終わる。彼らの世界が、この先も続いていく感じがある。こういう終わり方が好きです。

まとめ:長さに見合うか、正直に言うと

正直に、長さに面白さが見合うかと言われると、個人的には「人にオススメできるほど比例している」とは思いません。

でも、じっくり腰を据えて読む覚悟があれば、SFの面白さと、複雑で巧妙な物語を堪能できます。

面壁者と破壁人、羅輯の呪文、水滴、暗黒森林理論。熱くなる場面は、ちゃんと用意されています。📘🐤

第1部の感想はこちら。↓

📌 三体

同じく異星の存在と向き合う長編SF。ミステリーあり、バディあり、感動ありの最高の一冊です↓

📌 プロジェクト・ヘイル・メアリー

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