一行の本棚

異邦人|誠実なのに、噛み合わない男の話

一行本棚

カミュが書いた、短くて重い一冊です。
読み終えてすぐは、拍子抜けしました。
あっけない、というか、すんなり終わりすぎて。
でも1ヶ月、2ヶ月と経つうちに、じわじわ残っていることに気づきました。
これは読んだ直後より、時間が経ってから効いてくる本です。
人生で大切なものって何だろう、と静かに考えたい人にオススメです🐤

作品情報

作品名異邦人
著者名アルベール・カミュ
刊行年1942年
ジャンル小説・不条理文学
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一行本棚|作品メーター

※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。

  • 長さ【2】 短い ★★☆☆☆ 長い
  • 読みやすさ【2】 単純 ★★☆☆☆ 複雑
  • 重さ【4】 軽い ★★★★☆ 重い
  • 余韻【4】 アッサリ ★★★★☆ コッテリ

おすすめのタイミング: 短いのに深い本が読みたい時、しばらく頭に残る読書がしたい時。

ここから本格レビュー(ネタバレあり)

⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

主人公ムルソーは、冷酷な人間じゃありません。
ただ、周囲との軸が噛み合わなかった。
そしてその噛み合わなさに、本人がまったく気づいていない。
悪意がないから、余計に救いようがない。

誠実なのに、噛み合わない

母の葬儀で泣かなかった。
殺人を犯した理由が「太陽が眩しかったから」だった。
普通に考えればありえない。でもムルソーにとっては、それが正直な答えでした。
そしてその「正直さ」が、裁判で致命的になります。
殺人そのものより、葬儀で泣かなかったことの方が罪として機能してしまう。
社会って結局そういうものだ、というカミュの皮肉が静かに刺さってきます。

神父への激昂が、すべてを語る

死刑を前に、神父から「神を信じろ」と迫られたとき、ムルソーは初めて感情を爆発させます。
仮面があらわになった瞬間、とも言えるし、
ムルソーの軸が外部の圧力と真正面からぶつかった瞬間、とも言えます。
そしてあの激昂のあと、ムルソーは不思議と穏やかになる。
全部吐き出して、世界と和解したような静けさが漂う。

個人的にはここが、この作品で一番好きな場面です。
「もっとうまくやれよ」とも思いました。
漱石の『こころ』の先生と似た、猪突猛進な壊れ方。
共感はできないけど、嫌いにもなれない。その絶妙な距離感がずっと続きます。

読んだ直後は動揺しました。
でも時間が経つと、心にしっかり残っている。
静かなのに、怖い。そういう本でした。📘

紹介動画はこちら

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