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十角館の殺人|感想・あらすじ|「あの一行」に全てを持っていかれた

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綾辻行人のデビュー作にして、新本格ミステリの原点です。📖

孤島、十角形の奇妙な館、外界との遮断、そして連続殺人。

クローズドサークルの王道をなぞりながら、この作品にしかない仕掛けが待っています。

ミステリーって、裏切られたくて読んでいる気がします。

この作品には、望んだ以上の裏切りが待っていました。

思わずページを読み返す体験がしたい人に、ぜひ。🐤

作品情報

項目内容
作品名十角館の殺人
著者名綾辻行人
刊行年1987年
ジャンル推理小説・新本格ミステリ

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一行本棚|作品メーター

※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。

  • 長さ【3】 短い★★★☆☆長い
  • 読みやすさ【2】 単純★★☆☆☆複雑
  • 重さ【3】 軽い★★★☆☆重い
  • 余韻【4】 アッサリ★★★★☆コッテリ

おすすめのタイミング: どんでん返しを味わいたい時、ミステリーにハマりたい時。

新本格ミステリの原点って、どういうこと?

この作品は1987年、当時26歳だった綾辻行人のデビュー作です。

当時のミステリ界は、社会問題や人間ドラマを重視する「社会派」が主流でした。そんな中、孤島・奇妙な館・名探偵・大トリックという、謎解きそのものを楽しむ「本格」のスタイルを真正面から復活させたのがこの作品です。

これをきっかけに同世代の作家が次々とデビューし、「新本格ムーブメント」と呼ばれる流れが生まれました。日本のミステリの歴史を変えた一冊、と言われる理由がここにあります。

読む前に知っておくと、この作品が背負っているものの大きさが少し見えてきます。


ここから本格レビュー(ネタバレあり)

⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。なお、核心となる「あの一行」の内容は伏せています。

舞台は九州の孤島・角島。

大学ミステリ研究会の7人が、半年前に凄惨な四重殺人があったこの島を訪れます。

島に建つのは、亡くなった天才建築家が残した十角形の奇妙な館。

物語は孤島パートと本土パートが交互に進む二重構造。

島では一人また一人と殺され、本土では半年前の事件の真相を追う調査が進んでいきます。

登場人物|ミステリ作家の名を持つ7人

ミステリ研のメンバーは、互いを海外ミステリ作家のあだ名で呼び合っています。これがこの作品の世界観を作る重要な要素です。

あだ名元ネタの作家人物像
エラリイエラリー・クイーン推理役を担う、自信家の法学部生
ポウエドガー・アラン・ポーどっしりした医学部生
ヴァンS・S・ヴァン・ダイン島の管理を任された理学部生
アガサアガサ・クリスティ華やかな薬学部の女性
オルツィバロネス・オルツィ物静かな文学部の女性
カーディクスン・カー皮肉屋の法学部生
ルルウガストン・ルルー温和な文学部生

本名でなくあだ名で進む物語。この設定自体を「ミステリ好きの遊び」と思って読んでいると、後でやられます。

疑いながら読んでいた、それなのに

ミステリーなので、読みながら「この人が犯人かも」という候補は頭にありました。その読みも、結果だけ見れば遠からずではあった。

でも、この作品の仕掛けの本質は、そこではありませんでした。

メンバー外の犯人をしつこいくらい匂わせる展開に「だとしても内通者がいるのでは」と考えながら、どうなるどうなると読み進めた先の、あの一行。

思わずページを遡って読み返しました。

「犯人を当てる・当てない」の勝負だと思っていたら、戦っている土俵そのものが違った。そういう負け方でした。

活字だからこそ魅力

このトリックは、長年「映像化は不可能」と言われ続けてきました。

読者の思い込みを利用した誘導は、文章でしか成立しないと信じられてきたからです。

それでも、2024年に Hulu Japan で実写ドラマ化が実現しました。

映像という制約の中でどう「あの一行」を表現したのか、未読の方は原作で先に体験してから観るのがおすすめです。

それでも、活字で初めてあの瞬間に出会えたときの衝撃は、私にとって特別なものでした。

読書だからこそ味わえる仕掛けは確かに存在する ── そう教えてくれた一冊です。

ただ、個人的には救いが欲しかった

ここからは完全に好みの話です。

ミステリとしての完成度に文句はありません。でも、物語を一緒に過ごしてきた彼らがああいう結末を迎えるのは、トリックの見事さとは別のところで辛かった。

彼らに非があったことは、作中で匂わされています。それでも、誰か一人くらい救いがあってもよかったのに、と思ってしまいました。

絶賛のレビューが多い作品ですが、この後味の部分は、読む人の好みが分かれるところかもしれません。

この作品が合う人、合わないかもしれない人

仕掛けと驚きを最優先で味わいたい人には、間違いなく刺さります。ミステリにハマりたい人の入口としても最適です。

一方で、登場人物の心情描写や人間ドラマをじっくり味わいたい人には、少し物足りないかもしれません。キャラクターの掘り下げよりも、構造の面白さで読ませる作品です。

「そして誰もいなくなった」は読んでおくべき?

この作品はアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」へのオマージュとして知られていて、作中にも随所にその話が出てきます。

結論から言うと、読んでいなくても全く問題ありません。

読んでいればニヤリとできる、読書好きへのサービスのようなもの。

ただ、分かると少し読書教養レベルが上がった気がして嬉しいのも事実です笑。

クローズドサークルの原点を先に味わいたい方は、こちらからどうぞ。

📌 そして誰もいなくなった|感想・あらすじ

新本格ミステリの扉を開いた歴史的一冊。

ミステリーにハマりたいなら、避けては通れない作品でした。📘

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