鼻|くすりと笑えて、でもじわりと怖い
芥川龍之介が書いた、筆致が心地よい短篇です。📖
古い文体だから難しいかと思いきや、いざ読み始めるとスルスル頭に入ってくる。
古典的な文体に苦手意識がある方も、思い切って読んでみてほしい一篇です。
最初はくすりと笑えて、後半はじわりと怖くなって、最後は安堵する。
これだけ短いのに、感情がしっかり動かされました。
コミカルな面白さと、人間の恐ろしさが混在している。
そういう話が好きな人にぜひ。🐤
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 鼻 |
| 著者名 | 芥川龍之介 |
| 刊行年 | 1916年 |
| ジャンル | 短編小説・近代文学 |
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一行本棚|作品メーター
※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。
- 長さ【1】 短い★☆☆☆☆長い
- 読みやすさ【3】 単純★★★☆☆複雑
- 重さ【3】 軽い★★★☆☆重い
- 余韻【2】 アッサリ★★☆☆☆コッテリ
おすすめのタイミング: 隙間時間にさっと読みたい時、日本文学に触れてみたい時。
ここから本格レビュー(ネタバレあり)
⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
舞台は平安時代。
異様に長い鼻を持つ僧侶・内供が、その鼻を短くする方法を探し、ついに成功する。
しかしその後に起きたことが、この作品の本当のテーマを教えてくれます。
原稿用紙10枚ほどで読めてしまう短さなのに、読み終えると人間というものについて考えさせられます。
鼻の長さが気になって、不便で仕方ない
前半は内供が自分の鼻を気にしながら、あれこれ手を尽くす様子が描かれます。
くすりとしながら読み進められました。
真剣なのに少し滑稽で、芥川の筆致がどこか飄々としていて重くなりすぎない。
短くなった鼻、だが嘲笑されてしまう
苦労の末に鼻を短くした内供を待っていたのは、周囲からの嘲笑でした。
長い鼻のときは同情してもらえた。
でも短くなった途端、笑いの対象になる。
自分から遠いものには同情や優しさを向けられる。
でも自分に近づいてくると、加虐してもいいという感覚になってしまう。
人間ってそういうものなのかも、と思うと怖い。
芥川はそれを糾弾せず、ただ淡々と描いているのがまた怖いんです。
鼻が戻って、安堵して、でも
最後に鼻は元の長さに戻り、内供は安堵します。
でも周りの人間の性質が変わったわけではない。
「よかった」という気持ちと、「本当によかったのか」という気持ちが混ざる、不思議な読後感でした。
コミカルな笑いと人間の恐ろしさが混在している。
そのバランスが芥川らしくて、スッと心に残る一篇でした。📘
📌 太宰治の『人間失格』も、芥川を慕った後継世代が描いた人間の業の物語です。同じ近代文学の系譜として、合わせてどうぞ。
📌 江戸川乱歩の『人間椅子』も、短いながら巧みな話の持っていきかたが光る短編です。芥川とはまた違う読み口で、合わせてどうぞ。
YouTubeにも動画公開中📽️
30秒ほどの短い動画もありますので、ご一緒に。

