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スタイルズ荘の怪事件|アガサ・クリスティ|感想・あらすじーポアロはここから読むべき?デビュー作を読んだ正直な感想

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ミステリーの女王アガサ・クリスティのデビュー作にして、名探偵エルキュール・ポアロの初登場作です。📖

田舎の屋敷で起きた毒殺事件を、ポアロが「灰色の脳細胞」で解き明かす。王道中の王道の本格ミステリーで、デビュー作なのに老練さを感じさせるほど物語としての仕上がりを感じます。

ポアロをどれから読むか迷っている人、ザ・ミステリーを一冊ちゃんと味わいたい人にぜひ。🐤

作品情報

項目内容
作品名スタイルズ荘の怪事件(The Mysterious Affair at Styles)
著者名アガサ・クリスティ
刊行年1920年(ポアロ・シリーズ1作目)
ジャンル古典ミステリ(本格推理)

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一行本棚|作品メーター

※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。

  • 長さ【3】 短い★★★☆☆長い
  • 読みやすさ【2】 単純★★☆☆☆複雑
  • 重さ【2】 軽い★★☆☆☆重い
  • 余韻【2】 アッサリ★★☆☆☆コッテリ

おすすめのタイミング

2〜3日で読み切れる長さです。犯人当てをじっくり楽しみたいときに。
※ミステリーものよろしく、最初に登場人物がまとめて出てきます。人物表を栞代わりにして読むのがおすすめです。

長さ・読みやすさ・重さ・余韻で、あなたの気分に合った一冊を探せます。↓

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『スタイルズ荘の怪事件』はどんな話?(ネタバレなし)

舞台は第一次世界大戦中のイギリス。戦地で負傷し療養中のヘイスティングズは、旧友ジョン・カヴェンディッシュに招かれ、屋敷〈スタイルズ荘〉に滞在します。

屋敷の女主人は、ジョンの継母エミリー・イングルソープ。資産家の彼女は二十歳ほど年下のアルフレッドと再婚したばかりで、家の空気はどこかぎくしゃくしています。

そんなある夜、エミリーが苦しみ出し、そのまま息を引き取ります。死因は毒物と思われます。ヘイスティングズは、偶然この村で再会していた旧知の探偵、ポアロのことを思い返し、ある考えを巡らせます。そしてジョンに、彼に捜査を頼もうと持ちかけるのでした。

ポアロはどれから読む?スタイルズ荘からでいい?(ネタバレなし)

どこから読んでも楽しめるポアロ作品ですが、スタイルズ荘から読んでみることはおススメです。

有名作である『アクロイド殺し』や『オリエント急行の殺人』等は、意外な結末そのものが読みどころの作品。ミステリーを読み慣れた人ほど楽しめるタイプです。
一方のスタイルズ荘は、事件が起きて、容疑者が揺れて、名探偵が最後に謎を解く、ザ・ミステリー。だからこそ入りやすいと感じました。

人物紹介の助走はやや長く感じるかもしれません。ですが、ある人物の逮捕をポアロが阻止する辺りから、一気に「どうなる、どうなる」と転がり始めます。

主な登場人物

人物どんな人か
ヘイスティングズ語り手。戦地で負傷し療養中の英国軍人。ポアロとは昔からの知り合い
エルキュール・ポアロベルギー警察の元刑事。小柄で、口ひげと整理整頓にこだわる私立探偵
エミリー・イングルソープスタイルズ荘の女主人。屋敷と財産を握る資産家で、最近再婚した
アルフレッド・イングルソープエミリーの二十歳ほど年下の再婚相手。屋敷の人々からは財産目当てだと嫌われている
ジョン・カヴェンディッシュエミリーの亡き前夫の息子で、屋敷の長男。ヘイスティングズの旧友
メアリ・カヴェンディッシュジョンの妻。夫婦の間はどこか冷えている
ローレンス・カヴェンディッシュジョンの弟。医師の資格を持つが、文学にのめり込んでいる
シンシア・マードックエミリーに引き取られて屋敷で暮らす娘。薬剤師として病院で働く
エヴリン・ハワードエミリーの長年の話し相手で、友人。物言いがはっきりしていて、アルフレッドを毛嫌いしている
バウアスタイン博士毒物学の専門家。村に滞在していて、メアリと親しい
ジャップ警部スコットランド・ヤードの警部。ポアロとは旧知の仲

ここから本格レビュー(ネタバレあり)

⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

あらすじ(結末まで)

事件の前日、エミリーの話し相手エヴリン・ハワードは、アルフレッドとの結婚をめぐって大喧嘩をし、屋敷を出ていきます。去り際に彼女は、ヘイスティングズにアルフレッドに気をつけるよう言い残しました。

事件当日の午後、エミリーが誰かと激しく言い争う声が聞かれます。その夜、彼女は鍵のかかった寝室で苦しみ、亡くなりました。現場には砕けたコーヒーカップ、暖炉には燃やされた遺言状。

疑いはまず夫のアルフレッドに向かいます。村の薬局で、彼らしき男がストリキニーネという即効性の毒物を買っていたからです。ところがポアロは、警察が彼を逮捕しようとした場面で、毒が買われた時刻に彼が別の場所にいたことを示し、逮捕を止めてしまいます。

次に疑われたのはジョンでした。不利な証拠が次々に見つかり、ジョンは逮捕されてしまいます。


裁判の行方が見え始めたところで、ポアロは関係者を集めて真相を明かします。

犯人はアルフレッド。そして共犯は、彼を毛嫌いしているように見えたエヴリン・ハワードでした。二人はひそかに通じていて、あの大喧嘩も疑いを逸らすための芝居だったのです。村の薬局でストリキニーネを買ったのも、アルフレッドに変装したエヴリンでした。薬局の帳簿の署名も、彼の筆跡に似せたものです。

ポアロがアルフレッドの逮捕を止めたのにも理由がありました。弱い証拠で逮捕され、一度無罪になれば、同じ罪で二度と裁かれない。アルフレッドは最初からそれを狙っていたのです。

毒の仕掛けはこうです。エミリーが毎日飲んでいた強壮剤には、もともとストリキニーネが少量含まれていました。そこに臭化物の粉を加えると、ストリキニーネが溶けきれずに瓶の底へ沈んでいきます。
エヴリンは強壮剤に臭化物を入れて置き、その時を待っていました。そう、

最後の一杯にだけ、致死量の毒が溜まっていたのです。

コーヒーは目くらましで、誰かがストリキニーネを入れたと誤認させるためのものでした。

ジョンは釈放され、すれ違っていたジョンとメアリは仲を取り戻します。ローレンスとシンシアも結ばれ、物語は明るく幕を閉じます。

感想・考察

犯人の意外さについて

エヴリンが共犯だと分かった時は、意外でした。1章で彼女が屋敷を去った時も、エミリーの心の支えがいなくなって、さっそく不穏なスタートだなと感じたくらいです。

ただ、「すごい!」「やられた!」とまでは思いませんでした。関係なさそうな人たちが実は繋がっていた、というのはポアロ作品のみならず多くのミステリーでよく出会う型ですからね。

とはいえ、これはデビュー作であり、100年前のミステリー。この型の出発点がここだと思うと感慨深いです。

トリックは、シンプルだが腹落ち

トリックは「なるほど」と思いました。薬に詳しくなくても、小学生の理科くらいの知識があれば、溶けていたものが底に沈む仕組みに納得感があります。

それにしても、クリスティ作品には薬や毒がよく出てきます。クリスティ自身、第一次世界大戦中に病院の薬局で働いていて、その知識が作品に生きています。作中のシンシアが薬局勤めなのも、その経験と重なります。

若いポアロは、喜怒哀楽が大きい

のちのポアロ作品と比べると、ポアロの食わせ者感は少し控えめで、喜怒哀楽が大きい印象です。

それでも、底知れなさと、紳士的で愉快な感じはもう出来上がっている。敵ならうっとうしそう笑、味方なら頼もしいな、と思わされる素敵なキャラクターです。

恋に事件に空回りするヘイスティングズ

語り手のヘイスティングズは、推理でも恋でも、絵に描いたように空回りしてくれます。ポアロに「モナミ」と呼ばれながら、推理は的外れ、恋心も実らない。
彼のおかげで物語にも花が咲きますが、できればいつか報われてほしいものです。

事件のあとの、二組の行方

読み終えてまず残ったのは、爽やかさでした。

犯人が分かるまでは、ジョンもメアリも、ローレンスもシンシアも怪しく見えて、正直なかなか応援できませんでした。だからこそ、ジョンが捕まってからのメアリの献身ぶりと、ローレンスとシンシアの初々しさ、クライマックスの怒涛の好転が素敵でした。

やっぱり、ハッピーエンドが好きなんですよね。

まとめ:ポアロのスタートに、ちょうどいいザ・ミステリー

『スタイルズ荘の怪事件』は、名探偵ポアロとミステリーの女王の、すべての始まりの一冊です。

後の名作を先に読んでいると、謎解きの驚きは少し薄く感じるかもしれません。それでも、事件、容疑の揺れ、全員の前での謎解き、そして気持ちのいい結末まで、ミステリーの楽しさがひと通り詰まっています。

どこから読んでも面白いポアロですが、何を読もうか迷っている人にはおすすめできる一冊です📘🐤

ミステリー界の問題作ともいわれたポアロ作品↓

📌 アクロイド殺し

雪で止まった列車で起きる、ポアロの名推理。↓

📌 オリエント急行の殺人

クリスティの経歴や、作品に薬や毒が多い理由を調べた記事。↓

📌 アガサ・クリスティ、その魅力を調べた!!!✨

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