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人間失格|誰にでも起こりうる、ある男の転落

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人間失格 太宰治 新潮文庫 表紙

太宰治の代表作にして遺作。📖

「恥の多い生涯を送って来ました」という有名な冒頭から始まる、葉蔵という男の独白の物語です。

読み終えてまず思ったのは、ダメなやつだな、という素直な感想でした。

でも同時に、これって誰にでも起こりうる破滅なんじゃないか、とも思えてくる。

人間って何で生きてるんだろう、と立ち止まりたくなった人にぜひ。🐤

作品情報

項目内容
作品名人間失格
著者名太宰治
刊行年1948年
ジャンル小説・私小説

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一行本棚|作品メーター

※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。

  • 長さ【2】 短い★★☆☆☆長い
  • 読みやすさ【2】 単純★★☆☆☆複雑
  • 重さ【4】 軽い★★★★☆重い
  • 余韻【4】 アッサリ★★★★☆コッテリ

おすすめのタイミング: 自分の生き方を見直したい時、近代文学に触れたい時。


ここから本格レビュー(ネタバレあり)

⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

舞台は大正から昭和初期の日本。

主人公の大庭葉蔵(おおばようぞう)が、自分の人生を3つの手記として綴った独白体の小説です。

人前で「道化」を演じることでしか他人と関われない葉蔵が、酒・女性・薬物に溺れ、心中事件、薬物中毒、自殺未遂、そして精神病院入りへと転落していく。

冒頭の「恥の多い生涯を送って来ました」が、最後まで重く響き続けます。

辛い境遇、ただ本当に踏みとどまれなかったのか

読み終えてまず思ったのは、葉蔵の転落には踏みとどまれるポイントがあったのではないかということです。

もちろん、境遇には同情する部分もあります。幼少期に使用人から受けた性的被害、人間との関わり方を学べないまま育った環境。可哀想だったとは思います。

でも節目節目の選択を見ると、葉蔵は常に「踏みとどまる」方を選べなかった。

女性との心中、薬物への手出し、世話してくれた人の家からの逃亡、悪い友人との縁。

どれも一歩踏みとどまれていれば違った結末があったはず。。。

それに関しては、葉蔵自身の選択でした。

自分の人生を自分ごとにできない男

葉蔵の最大の問題は、自分の人生を自分ごととして見られなかったことだと感じました。

葉蔵は人を観察する目が鋭く、知能も高い。でもその能力すべてが「他人事として人生を眺める」方向に使われている。だから自分の問題に向き合えない。流されて、おどけて、自分から距離を取り続けた結果が破滅。

「自分すら他人として観察している」感じが、あの冒頭の一文に凝縮されています。この感覚は、同じく不条理と自己との距離を描いたカミュ作品とも響き合う、近代文学の重要なモチーフかもしれません。

悪友との堕落

葉蔵の堕落のきっかけとして語られがちな悪友、堀木がいます。

画塾で出会った葉蔵より6つ年上の男で、酒・タバコ・夜遊びなど、上京したての葉蔵に「世間」を教えた人物です。二人の腐れ縁は長く続き、堀木がいたからこそ葉蔵には居場所があったとも言えます。

そして冷静に見ると、彼は自分の人生を生きているだけです。

世渡りが上手くて遊び人で、それ以上でも以下でもない。

厳しく見ると、葉蔵が勝手に依存して勝手に堕ちていっただけ。

むしろ彼がいたからこそ葉蔵には居場所があった。誰かのせいで堕ちたんじゃなくて、誰かがいたから生きてこれた、と見ることもできます。

妻が襲われ、その時の葉蔵は

物語の中で特に重いのが、葉蔵の妻が傷つけられる場面です。

無垢を信じていた相手が、目の前で別の男に踏みにじられる。

止められなかった葉蔵、よそよそしくなっていく二人。あの場面は本当に辛い。

でも、そこからどうするかは葉蔵次第だったと思います。

妻が傷ついたなら寄り添うこともできた。一緒に乗り越えることもできた。

でも葉蔵は自分の絶望に逃げ込んで、薬物に行ってしまった。

きっかけは外部だったけれど、選択は葉蔵自身がした。

現代の私たちにも、当てはまる

人間失格を読んで一番怖いのは、葉蔵の破滅が「極端な事件」で起きていながら、節目ごとに踏みとどまる余地が確かにあったということです。

女性との心中、薬物への手出し、妻の事件後の選択。一つひとつの場面で、もう一歩踏みとどまれていれば違ったはず。

でも葉蔵は踏みとどまれなかった。

これって現代人にも普通に起こりうる破滅パターンだと思います。

だいぶ前の作品なのに、「誰にでも一歩間違えれば近い破滅があり得る」という普遍性がある。

だから今も読み継がれているんでしょうね。

太宰の警告として、たまに読み返したい一冊でした。📘

📌 ちなみに人間失格は青空文庫対応のため、Kindleで0円で読める名作の一冊でもあります。

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