七つの会議|会社で生きる人に刺さる、組織と不正の群像劇
池井戸潤が書いた、サラリーマンには少し怖い一冊です。📖
中堅メーカーを舞台に、会社と関わる人々が仕事、人間関係、そして不正と複雑に絡み合う、巧みに描かれた群像劇です。
面白かった。でも読みながら、ずっと怖かった。
「自分だったら、どうするか」という問いが頭から離れなかった。
組織の中で生きる全ての人に、刺さる一冊だと思います。🐤
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 七つの会議 |
| 著者名 | 池井戸潤 |
| 刊行年 | 2012年 |
| ジャンル | 小説・ビジネス・クライムノベル |
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一行本棚|作品メーター
※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。
- 長さ【3】 短い★★★☆☆長い
- 読みやすさ【2】 単純★★☆☆☆複雑
- 重さ【3】 軽い★★★☆☆重い
- 余韻【3】 アッサリ★★★☆☆コッテリ
おすすめのタイミング: 仕事のことを考えたい時、組織と人間について考えたくなった時。
ここから本格レビュー(ネタバレあり)
⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
舞台は大手電機メーカーの子会社・東京建電。
物語は、「花の一課、地獄の二課」と呼ばれる営業部で、万年2番手の営業二課課長・原島が、鬼の営業部長から叱責される場面から始まります。
各章で視点人物が変わるオムニバス形式で、複数の社員の物語が次第に繋がっていく構造です。
ありふれた日常の裏で、強度基準を満たさないネジの隠蔽という重大な不正が静かに進行している。それが章を追うごとに少しずつ姿を現していきます。
「ぐうたら」に見えた係長の正体
物語の鍵を握るのは、万年係長の八角でした。
会議中に居眠りしてばかりの「はっかく」と呼ばれる男が、ある日上司のパワハラを告発したことから、不可解な人事と会社の闇が動き出します。
最初は何も考えていないように見えた八角が、実は全てを握るキーマンだった。
読み進めるうちに展開の予測はできるが、伏線が綺麗に機能しているため、構造として自然に腑に落ちる感じでした。
苦難の中で成長し、新天地へ
印象に残ったのが、辛い状況をきっかけに会社を辞めることを決意した女性社員の話です。
苦痛な日々の中で「自分が何も残せていない」という思いから、社内向けのドーナツ販売を企画。経理から否決されつつも社内アンケートを味方につけて実現させ、新天地ではその経験を糧に立ち上がっていく。
うまくいかないリアルさの中で自分に足りないものを見つけ、地道な積み重ねで前進していく姿が、大団円ではないけど心に残りました。
重い不正の話だけでは終わらない、こうした人間ドラマがあるおかげで、群像劇としての厚みが生まれていると感じます。
自分だったら、どうするか
この作品を読んで一番怖かったのは、不正そのものではなく「自分も同じことをするかもしれない」という感覚でした。
当事者でなければ見て見ぬふり、当事者なら加担するかもしれない。
どこまでセーフかなんて、その場にならないと分からない。
今回の不正はネジの強度偽装という人命に関わるものだったから「これは絶対NG」と思えたけど、もっと軽いものだったら関与を避けるくらいはするかも、と正直思ってしまいました。
上司や周囲が顔色を合わせていたら、抗えない場面はきっとある。
この作品はその「普通の感覚」を丁寧に描いているから怖い。
消火成功レベルの安堵で終わる
読み終えた後はすっきりではなく、やや「モヤ」が残りました。
収まるべきところに収まったのは良かった。
でも大団円というより、火の車がなんとか消火に成功したくらいの安堵感。
不正に関わった当事者たちのツケは残ったまま終わるので、スカッとしきれない。
ただそれがリアルで、「組織の不正ってこういうもんだよな」という納得感でもありました。
面白かった。でも読み終えても、「自分だったら、どうするか」という問いだけが残ります。📘
📌 現代の組織と個人の関係性を描いた作品として、イン・ザ・メガチャーチもおすすめです。仕掛ける側と仕掛けられる側、それぞれの心理が描かれていて、七つの会議とは違う角度から「組織と人間」を考えさせられます。
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