ハツカネズミと人間|スタインベック|感想・あらすじー農場を渡り歩く凸凹コンビの行き先は
貧しい渡り労働者の二人組が、自分たちの農場を夢見る物語です。📖
200ページほどの短い小説で、一気に読めました。
面白かった。でも、クライマックスは辛かったです。
サクッと読みたい、友情の物語が好きな人に。ただし、甘くはありません。🐤
作品情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | ハツカネズミと人間 |
| 著者名 | ジョン・スタインベック |
| 刊行年 | 1937年 |
| ジャンル | アメリカ文学(古典) |
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一行本棚|作品メーター
※主観で書いています。大きいほど濃厚な読書体験となります。
- 長さ【2】 短い★★☆☆☆長い
- 読みやすさ【3】 単純★★★☆☆複雑
- 重さ【4】 軽い★★★★☆重い
- 余韻【4】 アッサリ★★★★☆コッテリ
おすすめのタイミング
1〜2時間で、一冊を読み切りたいとき。友情の物語が読みたいけれど、甘いだけの話では物足りないときにも。
長さ・読みやすさ・重さ・余韻で、あなたの気分に合った一冊を探せます。↓

『ハツカネズミと人間』はどんな話?(ネタバレなし)
舞台は1930年代のカリフォルニア。農場から農場へと渡り歩いて働く、ジョージとレニーの二人組の物語です。
ジョージは小柄で、頭の回る男。
レニーは大きな体と怪力の持ち主ですが、中身は子どものように純粋です。柔らかいものを撫でるのが大好き。でも力の加減ができず、ネズミを撫でているうちに死なせてしまうこともあります。
二人には夢があります。いつか自分たちの小さな土地を持ち、ニワトリやウサギを飼って暮らすこと。レニーはその話を、何度もジョージにせがみます。
そんな二人が、新しい農場で働き始めるところから物語は始まります。
ちなみにタイトルは、スコットランドの詩人ロバート・バーンズの詩の一節から取られています。ネズミも人間も、どれほど練った計画でも、しばしば狂ってしまう。そんな意味の一節です。
主な登場人物
| 人物 | どんな人か |
|---|---|
| ジョージ | 小柄で頭の回る渡り労働者。レニーの面倒を見ながら旅をしている |
| レニー | 大男で怪力。純粋で、柔らかいものを撫でるのが好き。ジョージの話す「夢の農場」が大好き |
| キャンディ | 片手を失った、年老いた雑用係。長年連れ添った老犬を飼っている |
| カーリー | 農場主の息子。小柄で喧嘩っ早く、大きな男を目の敵にする |
| カーリーの妻 | 農場に居場所がなく、男たちに話しかけてくる |
| スリム | 農場の仕事を仕切る腕利きの男。誰からも一目置かれている |
ここから本格レビュー(ネタバレあり)
⚠️ 以下はネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
あらすじ(結末まで)
新しい農場に着いた二人は、さっそく農場主の息子カーリーに目をつけられます。
ある晩、キャンディの老犬が「臭いし、もう役に立たない」と言われ、仲間のカールソンに連れ出されます。犬は後頭部を撃たれました。キャンディはあとになって、自分の手でやればよかった、と悔やみます。
そのキャンディが、ジョージとレニーの夢の話を耳にします。自分の貯金を出すから仲間に入れてほしい。そう申し出たことで、ただの夢物語だった農場が、急に手の届くところまで近づきます。
ところが、事件が起きます。
納屋でレニーは、カーリーの妻に髪を撫でさせてもらいます。けれど強く撫ですぎて彼女が叫び、慌てたレニーは、口を塞ごうとして彼女の首を折ってしまいました。
レニーは、何かあったら隠れていろとジョージに言われていた川辺へ逃げます。
カーリーたちが追っ手を組む中、カールソンの拳銃がなくなっていました。持ち出していたのはジョージでした。
川辺でレニーを見つけたジョージは、いつものように夢の農場の話を聞かせます。そして、向こう岸を見つめるレニーの後頭部を撃ちました。
駆けつけた男たちの中で、スリムだけがジョージの胸の内を察し、仕方なかったんだと声をかけて、彼を連れ出します。
感想・考察
ここからは、読み終えて残ったことを三つ書きます。
ジョージがレニーを放っておけない理由
ジョージにとってレニーは、正直に言えば重荷です。前の町でも、レニーのせいで逃げ出してきました。今までも、相当無理をしていたと思います。
それでも離れなかったのは、放っておけなかったから。
その「放っておけない」の中身は、一つではないと感じました。
一つは、長く一緒にいすぎた腐れ縁。一つは、レニーが本当にいいやつだということ。
そしてもう一つは、ジョージ自身がレニーに頼っていたことです。
夢を語れば、目を輝かせて聞いてくれる相手がいる。カーリーに殴りかかられたときも、ジョージはレニーにやり返せとけしかけます。どんな目に遭いそうでも、レニーが味方でいてくれる。
守っていたのはジョージですが、支えられていたのもジョージだったのだと思います。
夢が現実になりかけた場面が、最高
この本で一番好きなのは、キャンディが加わって、三人で農場を持とうと話し始める場面です。
それまで夢の農場は、レニーにせがまれて語る、おとぎ話のようなものでした。
それがキャンディの貯金で、急にお金の計算が合い始める。あと少し働けば、本当に手が届く。
夢が現実味を帯びていくところに、読んでいてわくわくしました。
ただ、振り返ってみると、この場面は辛さの入口でもあったのかもしれません。
夢が近づいた分だけ、それを失ったときの重さも増してしまう。ジョージの最後の決断のきっかけにも、なったのかもしれないと思いました。
クライマックスのジョージの決断
今までなら、二人は一緒に逃げてきました。でも今回、ジョージは逃げずに、レニーを後ろから撃ちます。
周りの人間との関係と、事件の深刻さ。今までは、人の命を奪うところまではいかなかった。ジョージの中でなんとか保っていた均衡が、ここで限界を迎えたのだと思います。
なぜ、自分の手で撃ったのか。
ここで、キャンディの老犬の場面が重なります。老犬も後頭部を撃たれ、キャンディは自分の手でやらなかったことを悔やんでいました。
ジョージはレニーを他人の手に渡さず、自分の手で、レニーが怖がらない形で終わらせた。私はそう受け取りました。
物語の中で、スリムもジョージを責めません。私も同じで、ジョージは悪くないと思います。あそこまで来てしまったら、もうどうしようもなかったのでしょう。
まとめ:掴みきれない余白ごと、味わいたい一冊
ジョージは、なぜ拳銃を持ち出したのか。自分でけりをつけるためだったのか。それとも、一緒に逃げるときの備えでもあったのか。
最後に夢の話をしたジョージは、本当に叶うと信じていたのか。それとも、自分をごまかしていたのか。
レニーにせがまれて渋々話しているようで、どこか楽しそうでもありました。
短い小説だから、そこまでの機微は読みきれません。でも、その読みきれなさこそが、この本の余白なのだと思います。
サクッと読めて、長く残る一冊です。📘🐤
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