変身┃人であれなくなるのは、案外すぐそばにあるかも
一行本棚
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『人間椅子』読了!
Kindleで無料で読めるということで、人生初の江戸川乱歩に挑戦してみましたが……
短編だと油断していたら、見事に踊らされました。
30分で感情をこれほどまでに振り回されるとは。
おかしく、恐ろしく、だが読後は爽快。本当にお話を作るのが上手いと感じる一冊でした。
※主観で書いております。
ある椅子職人が人気女流作家へ送った「告白文」がメインとなる物語。
椅子の中に潜り込み、座る人の温もりを肌で感じるという、変執的なまでの美学が描かれています。
最初は「なんて馬鹿げた作り話だ」とどこか他人事のように笑えるのですが、ページをめくるごとにその熱量に飲み込まれていく。
次第に可笑しさは消え、狂気を感じ、嫌悪感を抱き始めます。
そして、あのラスト。
踊らされたという快感と、拭いきれない気味悪さ。
100年近く前の作品なのに、今の私たちが使っている「椅子」という日常の道具を、一瞬で「恐怖の対象」に変えたうえ恐怖だけでは終わらせない、乱歩の筆力には脱帽です。
大好物な「トラウマ級」の短編でした📘
さっくり読めるので、こころに余裕がある30分でぜひ読んでみてください!